砺波高校制服物語

 令和4年度入学生から砺波高校に新制服が導入されます。これまで男子は詰め襟の学生服、女子はビジネスモデルの学生服でしたが、今後は冬服はライトグレーのブレザー、夏服は紺色のポロシャツに変更されます。また、女子はスラックスも選択できます。

砺波高校の制服の歴史(百年史や生徒会誌より)
【明治期から昭和初期】
 明治42年4月8日、旧制礪波中学(男子のみ)の開校当時の男子生徒は着物に徽章のない学生帽で入学式を迎えました。その生徒も卒業式には全員学生服を着用していました。昭和23年に男女共学になったあとも女子の制服は制定されず、それぞれの中学時代のセーラー服を着るという規定でした。

【制服制定】
 新しい女子の制服が制定されたのは昭和34年2月。はじめに「制服委員会」をひらいて女子生徒の希望を聞き、その後家庭科教諭数名でデザインを考案して決定しました。
 制服は白ブラウスにサーモンピンクの紐状ネクタイをつけ、紺色のサージを使ったボックスプリーツのスカート、角型衿なしチョッキ、背広上着を着用するものでした。当時は「就職後も着用できるように」と配慮されたものでした。
 制定直後は生徒への評判はあまりよくなかったそうです。しかし、その制服のデザインは金沢でも好評だったデザインで、修学旅行にでると都会ではこのデザインを目にすることが多く、次第に受け入れられるようになりました。

昭和62年の遠足

【制服への関心】
 平成十年ごろ、高校生の間でルーズソックスがブームになりました。本校でもその影響がありルーズソックスが一時人気となりましたが、平成15年度に生徒指導部の呼びかけで着用が禁止になりました。しかし、生徒の制服への関心が高まる出来事でした。紺色ソックスの許可を求める動きもありましたが、砺波高校の校風もあり結局「現状維持」となりました。

【制服規定の一部改正】
 近年、女子制服を変えてほしいとの声は上がるものの動きは具体化せず、立ち消えとなることがほとんどでした。
 しかし令和元年7月、一部制服規定の改正があり、以下のようになりました。 
①女子のネクタイについて
 ネクタイについては式(入学式、卒業式、始業式、終業式)、式典以外は使用しなくてもよい。ただし、ネクタイを使用しない場合はブラウスの着こなしに注意する。
②男女の靴下について
 男女とも靴下の色は白、紺、黒とする。ただし、女子においては式(入学式、卒業式、始業式、終業式)、式典時は黒ストッキングとする。(夏服着用時は紺靴下)(くるぶしが隠れるもの、ラインは禁止)
 上記2点は試行期間を設け、規則が守られない、けじめのある行動がとれないようであれば、服装規定を戻すというものでした。
 生徒は制服規定改正の意義を理解し、正しく制服を着用したので、女子のノーネクタイや紺ソックスは普段の砺波高校生の制服として認められることに決定しました。
 また、女子の中には動きやすさや冬の防寒対策からスラックスを着用したいという声がありました。従来までは怪我などで着用する場合は異装届を提出した上での着用でした。今回の改正を経て指定されたスラックスであれば届け出がなくても着用ができるようになりました。

【制服改訂への動きがさらに】
 令和元年7月の改正があってか、さらに制服改訂への動きが具体化し加速していきました。令和元年度生徒会執行部は、とくに女子制服が
 ・制定から60年を超え、ファッション性に乏しい
 ・着心地がよくなく、温度調整が難しい
 ・洗濯ができない(実際は洗濯は可能)

などの理由から、令和2年3月に生徒会執行部が学校へ「砺波高校制服変更についての提言」を提出しました。生徒たちの真剣な訴えを受けて令和4年度入学生からの新制服導入をめざして検討をはじめることとなりました。
 また、制服変更は本当に必要か、制服の意義も含め、もう一度生徒自身が問い直すため、「制服についてのホームルーム」を設け、クラスごとに話し合いました。また制服についてのアンケートも実施しました。

制服改定へのポスター
生徒会執行部が申し入れ
制服についてのホームルーム

【令和2年度砺高祭でのファッションショー】
 砺高祭で「Uniform Collection」と題して制服のファッションショーを行いました。他校で採用されている制服や業者に借りた制服を生徒代表が実際に着用し、体育館中央のランウェイを歩き、思いのポーズをとり会場を沸かせました。男女夏冬服合わせて48種類の制服が登場し、生徒は着てみたい制服に投票しました。
 12月には業者による本校の教職員に向けた「現在の制服を知る」ことを目的に制服についての勉強会も行いました。

砺高祭

【新制服制定へ】
 最終的に新制服のコンセプトを下記のように定め、制服業者に提示し、新制服の提案を依頼しました。
 ①砺波高校の教育目標に合致していること。
 ②風格・品位が感じられるもの。(「知性、品位、そしてすべてを尊重する心」)
 ③近隣の学校とイメージが重ならず、独自性が感じられるもの。
 ④動きやすく、着心地がよく、着替えしやすく、着崩れしないもの。
 ⑤日常の手入れがしやすく、機能性の高い素材のもの。
 そして令和3年2月には新制服決定に向け、同窓会、PTA、地域の方、生徒代表、職員代表で新制服制定実行委員会を立ち上げ検討を重ねました。制服業者によるプロポーザルを2度にわたって行い、その間、保護者や生徒にむけて投票をしてもらうなど、多くの声を取り入れて新制服の決定に生かしていきました。

新制服制定実行委員会
PTA総会
制服見本展示

【令和3年度砺高祭での新制服お披露目】
 令和3年8月の新制服制定実行委員会で決定し、9月の砺高祭の生徒会企画「とにかく着こなせ。~Uniform only for you~」でお披露目となりました。

●冬服について
県内初の “ライトグレー” のブレザーで砺波高校の新たなシンボルとなるオンリーワンの制服です。
ブラックベースのスラックスには、スクールカラーのエンジとイエローの2色のラインでさりげないチェック柄を作り、ライトグレーのブレザーと調和のとれたデザインとなっています。スカートには、光が当たると模様が浮かぶ”シャドーチェック”を採用。また、裾にはスクールカラーのエンジのラインが入っており、砺波高校のために生地から開発した、全国にたった1つのスカート柄 です。衿元は、どちらともネクタイスタイル。スタイリッシュかつ、フォーマルな印象を与え、品位と知性を表現しています。

●夏服について
ネイビーのポロシャツスタイルです。高温多湿な富山県に適した、通気性、速乾性を兼ね備えたニット素材が特徴。ネイビーの身頃素材は、透け防止としても一役担っています。また、左胸にはオリジナル刺繍マーク、衿の前立てにはスクールカラーのエンジのラインを施し、砺高生だと一目でわかるアクセントも取り入れています。さらに、衿はボタンダウンになっているので、夏のカジュアルな装いでありながらフォーマルな印象もしっかりと残した、夏服となっています。また、オプションとしてホワイトのポロシャツも選ぶことができます。

●スラックス(スカート)スタイルについて
「生徒それぞれに着たい制服、したいコーディネートがある」という想いから性別や常識に囚われない、スラックススタイルも選択できる(スカートスタイルも可)。そして、スラックススタイルはスカートとは違い防寒、防犯対策のアイテムとしても活用でき、これからの時代のニュースタンダードと考えています。

●合服スタイルについて
 衣替えの前後や肌寒い時期には、ベスト、セーター、カーディガンの3種類から選べるニットアイテムを着用できます。自分の好みに応じて、好きなアイテムを選ぶことができ、また、オプションとしてネクタイと同柄の”リボン” もあります。スクールカラーのエンジと格子柄で上品さを保ちつつ、可愛らしく、華やかな印象を与えています。ワンタッチ式で、着用もとても簡単な仕様になっています。

冬服
合服
夏服

 今回改定された制服が砺波高校の新しい顔となり、今後数十年にわたって愛されるものとなるように、そしてこの制服を着た生徒諸君が次代の伝統を築いていくように期待しています。