アメリカ研修 活動報告(5日目)

昨日の身を切るような風は鳴りを潜め、今日はいくらか穏やかな天候となりました。生徒達はもうすっかりボストンでの通学に慣れた様子で、早めに到着しては近くのカフェでスナックや飲み物を買う様子が見られます。非日常がわずかに日常と重なり始めた頃ですが、しかし本日はもう既に週の後半木曜日です。今日と明日しか語学学校で過ごせる日はありません。それぞれの胸にそれぞれの期待と課題を抱えて教室に向かって行きました。生徒は日々すごいスピードで成長していると感じます。日記に「昨日は辛かっただけの留学生とのフリートークが、今日は楽しかった」と書いている生徒がいました。苦しいことに歯を食いしばり、目を背けないことでそこに確実に成長がやってくるのだと思います。

休み時間を有効に使う作戦を立てている生徒が多かったので覗きに行くと、まず砺高生だけのクローズドクラスの教室は空っぽでした。その代わりに、他のクラスには砺高生が入れ替わり立ち代わり日本から持参したお土産を手に持って動き回る姿がありました。それぞれ楽しそうに留学生と談笑する姿を見ていると、生徒達の頑張りを感じこちらも嬉しくなりました。

本日の午後は濃密で、まずマサチューセッツ工科大学(MIT)に出かけました。そこでは同大学院で量子力学の研究をされている王(おう)さんにお越し頂き、キャンパスツアーと座談会を実施いただきました。MITは比較的外部から中に入り易い大学ではありますが、大学の入学式など極めて内的な行事に使われるホールや、MITを象徴するドームの内部などなかなか立ち入ることのできないところまで王さんの案内で見学させていただき、砺高生は極めて幸運でした。王さんからはMITの敷地がちょうど東京ドーム14個分の広さであること、しかし実は学部生は各学年1,000人程度しかおらず日本の大学と比べても小規模であること、その中で日本人は各学年2人程度しかいないこと、アメリカでは理系の人間が就職や研究の分野でかなり優遇され、こと日本人は理系に非常に強いことなど、興味深いお話をざっくばらんに教えていただきました。座談会は実際のMITの教室で実施いただき、イメージが「自分がここで学ぶ」ことに達しMITに入りたいと口にする生徒もいました。砺高生にとって決して別世界の出来事ではありません。高い目標を持ち、それをモチベーションに頑張っていって欲しいと思います。

MITの後はハーバード大学を訪問しました。ここでも大学院の博士研究員である王(おう)さんにお越し頂き、キャンパスツアーを実施しました。なおMITの王さんとハーバードの王さんは何とご兄弟でした。都立の高校から東大に進学され、今こうしてMIT/ハーバードで学んでいるところまでご兄弟同じで、生徒からは思わず「ご両親はどんな方なんですか、、、?」と質問が上がっていました。そして巨大な街そのものであるハーバード大学を見学し、その日本の大学とは全く異なる重厚な雰囲気に感嘆していました。

研修もいよいよ明日から終盤に入ります。今日は語学学校で生徒の頑張りを目の当たりにした反面、大学訪問ではまだまだ一歩を踏み出せず主体的に取り組めていない課題も浮き彫りになりました。MITに向かう集合場所でそれを強烈に象徴する出来事が発生し、厳しく指摘させていただきました。その後の大学訪問でも、やはり受身な姿勢で、誰かに付いていくだけというスタンスを感じずにいられない状況も見受けられました。何人かの生徒はその点について強く問題意識を感じていました。それであれば、今からでもチームとしてその問題に向き合うべきではないかとお話しさせていただきました。もう遅いと諦めることは簡単ですが、どんなタイミングであれ‘変われる力’を砺高生は持っていると確信しています。明日生徒主催で実施するミーティングが、生徒達をもう一歩先のステージに押し上げることを願って見届けたいと思います。以上研修5日目の報告と致します。